よくある質問
マグトランの品質に問題がある場合は返品できますか?
はい、できます。カタログに記載してある品質は保証しますので、万一品質に問題がある場合は返品可能です。但し、カタログに記載してある正しいご使用方法を満足されている事が必要です。また、それらに関わる賠償責任は負いません。
磁気の影響と磁気もれなどの対策について
納品時はマグトラン専用トレイなどを用いて梱包をしております。通常は空間磁束(磁気もれ)対策の必要がありません。マグトランは磁石製品のため周辺の鉄分を引き付けますので、ご注意ください。また、磁気の影響を受ける製品が近くにある場合、50mm以上離して設置してください。
水中や真空内などでの使用は可能ですか?(コーティングについて)
水中や水がかかる環境でご使用の際はFB型をお選びください。実際に大型ガラス基板洗浄装置の搬送機構で多く採用されています。但し、磁石製品のため製品表面にキズ等が付きますと錆びが発生致しますので充分ご注意ください。またケミカル環境でのご使用については、ユーザー様にて十分な評価を行った上で採用のご判断をお願いします。
真空内でのご使用の際はFD型をお選びください。こちらも磁石製品のため製品表面にキズ等が付きますと錆びが発生致しますので充分ご注意ください。磁石からのガス放出量は一般的なステンレスやアルミ材等と変わりません。高真空10-5Pa台までご使用いただけます。
使用角度は何度まで使用可能ですか?
駆動側と従動側の磁石の着磁ラインを合わせる事が必要です。但し、2~3度の角度調整とズレは問題ありません。(理論的には伝達トルクが若干落ちると考えて下さい)。通常、目には見えませんが、「着磁ライン」は、クロスタイプが軸方向に45度傾斜、パラレルタイプは平行になっています。
カタログの組み込み例にある「Oリング」は何故必要なのですか?
FD型の真空用と耐熱用のマグトランのホルダ付きタイプには、内部にOリングを使用しています。FD型は焼結品のため負荷をかけると破損する恐れがあります。FD型磁石リングをホルダに固定する方法としてOリングの摩擦を利用して、マグトランをホルダに固定しています。また、このOリングを使用することによりマグトランの回転が「偏芯」しないようにする役割にもなります。FD型の大気常温用、FB型,FDS型,FBS型は大気常温専用品のためOリングは使用しません。
最高回転数はどのくらいまで可能ですか?
社内評価では4,000rpmまで問題なく追従する事を確認しております(無負荷状態)。あくまでも「非接触」で伝達するという特徴から、高速回転には基本的に向きません。型式によりかなりの差が発生しますが、いずれにしても急発進や急停止など「慣性」(イナーシャ)が強く働く使い方は避けなければなりません。制御系も「スローアップ~スローダウン」をお願いしています。またこの事は、逆に何かのトラブルが発生した時に「トルクリミッター」の働きをするという優れた点にもなっています。なお、FD26型、FD35型でもかなり高速まで追従しますが、今のところデータ化はしていません。
バックラッシュはありますか?
マグトランは磁力により非接触で駆動を伝達します。負荷が大きくなるほど駆動側が動き出してから従動側が動き出すまでの「ズレ」が大きくなります。この「ズレ」量は負荷により変動しますので、一般的な歯車にある「バックラッシュ」とは異なります。
高速回転時に発熱はしませんか?
追従可能な回転数の範囲では発熱した例はありません。
磁気の流れはどの様になっているのですか?
最も近接する相手の極とは理想的な「磁気ループ」が形成されています。このために、外部への磁気モレが少なく、極めて強い磁力を得ています。磁気の影響を受けるものが近くにある場合は、50mm以上離してご使用ください。
磁気の強さは変えられるのですか?
マグネットそのものの磁気の強さは変えられません。カタログにあるトルクはマグトラン間の「間隙」で調整します。距離を狭くするとトルクは強くなり、拡げると弱くなります。出来るだけ一定のトルクを得る事が大切で、バラツキの発生は好ましくありません。
現在の表面処理(コーティング)は変えられるのでしょうか?
FD型の表面処理はNi-Cu-Niの3層メッキです。FB型の表面処理は電着塗装です。表面の酸化を防止する優れた処理ですからユーザー様で変更する事は出来ません。本製品はマグネットのため、着磁後の表面処理は行えません。また、着磁前の表面処理に関しては、寸法や表面の状態に制限がありますので、詳細はお問い合わせください。
カタログラインナップ以外のサイズを作れますか?(製作可能なサイズについて)?
はい、基本的には出来ます。但し、いくつかの制限があります。
・最大外径 FD型φ50mm程度、FB型φ80mm程度
・最小外径 FD型φ16mm、FB型φ8mm(現行サイズが最小です)
・肉厚 2~5mm程度
・金型、着磁設備の新規製作が必要です。
イニシャルコストを考慮した上で、数量効果が期待できれば極めて有効です。
「伝達トルク」を得られる最大間隙はどのくらいですか?
例えばFD22型でのデータでは最大3mmの間隙まで伝達可能です。極めて弱いトルクとなりますが、用途によっては「弱い伝達トルク」が要求される事があります。マグトランの型式によって最大間隙は異なりますので、詳しくはお問合せ下さい。なお、FD35型では最大5mmの間隙で使用している例もあります。
マグトランに寿命はありますか?
永久磁石ですから「使用条件」を満たしていれば半永久的です。机上の計算では、例えば数十年で数%減磁というような、非常に少ない減磁レベルです。
カタログにある「温度による磁束変化率」とはなんですか?
マグトランには使用温度の制限があります。仕様にある「限界温度」を超えて使用すると、「一定の法則」に従って「減磁」をします。この保有磁束の変化をグラフに表したものが「減磁曲線」といわれるものです。「Pc=1.0」「Pc=2.0」は「パーミアンス係数=動作点」と呼ばれます。一般的にはモーターなどに使用される場合に重要になりますが、マグトランのような使い方では通常「Pc=2.0」のスケールを使います。
ペースメーカーなどに影響はありませんか?
マグトランは強力な磁石ですので、ペースメーカーやICDなどの植込型医療機器を装着されている方へマグネットを近づけると機器の性能及び人体に重大な影響を及ぼす恐れがあるため大変危険です。お取り扱いには充分ご注意願います。
磁石によるペースメーカーへの影響につきましては、厚生労働省又は、一般財団法人日本不整脈デバイス工業会等へお問い合わせ願います。
その他の注意事項について何かありますか?
はい、いくつかございます。製品出荷時に添えている注意書きを
こちらからご覧いただけますので製品受領後直ぐにご参照ください。
エンドユーザー、設備メーカーに対して技術アドバイスが出来ますか?
弊社ではユーザー様の設計段階で積極的な技術アドバイスをしています。しかし、客先の使用条件などの詳細についてはなかなか把握することが難しいのが現状です。採用をお考えの企業様は十分な調査と検討を重ねて頂き、特にトルクについては余裕を持った設計をお願いします。今日までに採用して頂いた実績を基に、要求があれば積極的にアドバイス致しておりますのでお気軽にお問合せください。
現在の歯車、ベルトチェーンの設備をマグトランに改造できますか?
はい、できます。但し、設計変更の必要があるでしょう。できれば新しいコンセプトで設計し、その中に組み込んで頂きたいと思います。古い設備は「パーティクル対策」がなされていませんので、ギアの部分だけでなく多くの箇所で発塵します。改造だけでは完璧な対策がとれない場合が多いと思われます。
内径または外径に加工したら性能は変わりますか?
マグトランへの追加工は出来ません。追加工による異常は当社では責任を持っておりませんので、カタログに記載の使用方法を守ってご活用ください。マグトランは特殊な複合工程を経て作られたものです。この製造工程はノウハウであり、他社ではこの性能を出すことは出来ません。
回転方向を反対にすることが出来ますか?
はい、できます。「マグトラン」のクロスタイプは、基本的に「右ねじり方向」を原則として着磁されています。回転方向が逆になる「左ねじり方向」の製品は、いくつかの型式で既に製品化しております。型式の末尾に“L”が付きます。
納入実績や提供例の開示は出来ますか?
原則として出来ません。各社が新しい手法として「複合ノウハウ」をこの部分に取り込んでいますので、機密保持契約を結ぶ事もあります。しかし、すでにプリント基板や太陽電池、LCD、有機EL、など大小のガラス搬送時の発塵対策として広く定着しております。更に医療機械、食品製造ラインなどへの採用も年々増えております。
コンベアメーカーがいくつかありますが、マグトランをコンベアへ利用する場合に
「特許侵害」となる懸念はありませんか?
マグトラン自体は他社の類似製品の特許には抵触しません。但し、設備へ取り付ける際やご使用方法によっては弊社の関知しないところで様々な「応用特許」が申請されておりますので、この事に留意してください。
組込み品(アプリケーション)としての特許についてはどうですか?
アプリケーションとしては今後、積極的に作っていく方針です。既にいくつかの製品について開発を進めています。また、「マグトラン」を使って他社と共同で製品開発をすることもあります。ユーザー様では色々な使い方をしていますので、弊社が関知しないところで「応用特許」などを申請される可能性も多いでしょう。応用特許について、弊社としては歓迎しておりますが、他の特許案件に配慮されますようお願い致します。
基本設計時の留意点
●伝達トルクを計算するときの考慮要素
■従動軸(ローラー)の重量
■ローラー側の軸受の回転抵抗(グリスなど)
■ローラーに付ける固定プーリーなどの外径イナーシャ (慣性)
■ローラーの軸受とマグトランとの位置関係(軸受とマグトランがあまり離れない事)
搬送物の重量によるシャフトの曲がりで、マグトランの「間隙」が変わらないような設計。
■駆動シャフトの軸受の数(少なくすると曲がりが発生)
■マグトランは「非接触」であり、「低発塵」「摩擦なし」「超静音」をテーマとしたクリーン伝達が目的の機構です。ギアのように多少無理があっても強引に回す機構とは異なります。この為、破損せず「トルクリミッター」機能の併有を特長としていますので、基本的には数百キログラムに及ぶ搬送に適していません。